中谷達也は大阪出身、米国在住のパーカッショニスト。これはスウェーデン人ギタリストDavid Stackenäs との「来日」公演の時のもの。北欧物ばかり聴いていた私は David Stackenäs の名前を見て足を運んだが、初めて見る/聴く中谷の演奏には耳も目もあんぐり。

即興演奏を撮る時は、演奏者が次に何を繰り出してくるか先回りして待ち構える。パーカッショニストだと何を使ってどの位置で、どのタイミングで音を出すかかなり先まで読まなければならない。しかし彼は良い意味でこちらの読みはほとんど当たらない。その音楽は、音楽が元来持っていた原始的な躍動感に満ちていて、誰でも、たとえ即興演奏を聴いたことがなくても楽しめるが、被写体としては魅力的でありながらも結構難易度が高い。

ミュージシャン本人も気に入ってくれたこの写真は、帰国後のアメリカツアーのプレスフォトに採用され、さらに彼のソロCD “Present Presence” (2013年) のスリーブ写真にも使ってもらった。

私にとっては「10 年に1枚」の写真。これまでこの写真はずっとオリジナルのカラーで使われてきたが、今回初めてモノクロにしてみた。

2013-01-18 / UrBanguild (京都市中央区) / Nikon D4 / 70-200mm F2.8 / 105mm / F5.6 / 1/100s / ISO8000