Hardingfele(ハリングフェレ)はノルウェーの民族楽器で、バイオリンのような4弦に加え、4〜5本の共鳴弦を持つ(この写真に写っているのは共鳴弦が4弦の8弦タイプ)。共鳴弦による豊かな音色に加え美しい装飾も特徴。
ノルウェーにはこの楽器の名手は多いが、中でもNils Øklandは幅広い音楽性を持つ名手だ。より正確には、幅広い音楽に自分のスタイルをフィットさせられる、というべきか。元々民族音楽ではなく、幾分現代音楽寄りのスタイルを持つが、ジャンルの壁が非常に低いノルウェー音楽界で、ジャズからロックまで自在にこなす。
この写真は”1982″という不思議な名前を持つトリオ編成のグループでの来日公演のもの。フィドル、オルガン、ドラムという楽器の組み合わせで、シンプルで伸びやかでどこか懐かしい音を紡ぐ。彼らはアルバムジャケットにいつも素朴な家(建物)の写真を使っており、そのなんとも暖かな気持ちになる音楽を包むのにふさわしいコンセプトだと思う。
ところで、被写体としてのNils Øklandは難易度が高い。楽器を構えて体を動かしてフレーズを弾くので、指板にフォーカスしても捉えきれないからだ。加えて、楽器の特性上、観客から見て楽器の一番手前(大抵はスクロール)から演奏者の顔までかなり距離があり、狙った絵はなかなかものにならない。
2013-10-19 / 江之子島文化芸術創造センター (大阪市西区) / Nikon D4 / 70-200mm F2.8 / 125mm / F4.5 / 1/160s